大学に入学したばかりの頃、胸には淡い期待がありました。「今度こそ、気の合う友達と出会えるはず」と。しかし、現実は甘くありませんでした。サークル活動も、ゼミの懇親会も、私にとってはまるで異世界。何を話せばいいのか分からず、ただ黙ってうつむくばかり。気づけば、いつも輪の外にいる自分。「また、私だけが浮いている…」そんな心の声が、喉元までせり上がってくるのを感じました。
社会人になっても、状況は変わりませんでした。職場の飲み会では、無難な相槌を打つのが精一杯。会話のキャッチボールは苦手で、いつもボールを落としてしまう。「どうして、みんなみたいに自然に話せないんだろう？」鏡に映る自分の顔は、いつもどこか不満げで、自信のない表情を浮かべていました。
そして、一人暮らしを始めた時、その孤独は決定的なものとなりました。広い部屋に響くのは、自分の呼吸音と、冷蔵庫のモーター音だけ。休日、SNSで楽しそうに遊ぶ友人たちの投稿を見るたび、胸が締め付けられるような寂しさに襲われました。「私には、誰もいない。本当に、たった一人なんだ…」。この絶望感が、鉛のように心にのしかかり、時には布団から出ることさえ億劫になる日もありました。
何度か、勇気を出してマッチングアプリを試したこともあります。でも、プロフィールに何を書けばいいのか、どんな写真を載せればいいのか、それすらも分からず、結局「いいね」すら押せないままアプリを閉じてしまう。「結局、私なんて誰にも興味を持たれないんだ」と、自己嫌悪の渦に深く沈んでいきました。
そんなある日、ふと目にしたのは、アニメやゲーム好きが集まる趣味特化型アプリの広告でした。「もしかしたら、ここなら…」。最初は半信半疑でした。また傷つくのは嫌だという思いと、それでも「誰かと繋がりたい」という本能的な欲求が、心の奥底でせめぎ合っていたのです。
しかし、そのアプリのコミュニティを覗いてみると、そこには私と同じように、アニメやゲームの世界に熱い情熱を傾ける人々の姿がありました。「このシーン、最高だった！」「あのキャラの考察、深すぎる！」彼らの言葉は、まるで私自身の心の声がそのまま形になったかのようでした。共通の「好き」があるだけで、こんなにも会話が弾むのかと、目から鱗が落ちる思いでした。
「コミュ障だから」と諦めていた私でも、好きな作品についてなら、いくらでも語れる。共感してくれる人がいる喜びは、想像以上に心を温めてくれました。それは、まるで砂漠の中にオアシスを見つけたような、乾ききった心に潤いを取り戻す体験でした。
もし今、あなたがかつての私と同じように、一人暮らしの寂しさや、友達がいないことへの孤独感に苛まれているなら。もし、大学や職場で人間関係に悩んできた経験があるなら。そして、アニメやゲームの世界に、人には言えないほどの情熱を抱いているなら。
あなたの「好き」は、決して閉じた世界ではありません。それは、あなたと同じ情熱を分かち合える仲間へと繋がる、強力なパスポートになり得るのです。
「どうせ私には無理…」そんな諦めは、もう終わりにしましょう。
一歩踏み出す勇気さえあれば、あなたの世界はきっと、色鮮やかな物語に変わっていくはずです。
